タルタロスオンラインにおける萌えを綴る場所。
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毎回タイトルに困るんだけど、どうしよう・・・
続きどうぞー。
続きどうぞー。
アンジェリナの思惑
少し時は遡る。
アンジェリナがいつものようにアエルロトにディオネからの注文を伝えた頃、外は小雨だった。
羽を濡らさぬようにクロモド宅に入れてもらい、しばらく経った頃。
アンジェリナは妙な胸騒ぎを感じ、イザンとともにアエルロトの後を追った。
『アエルロトがどこに居ても、見つけ出す事が出来る』という能力が最大限に活かされ、アンジェリナは容易に倒れているアエルロトの元に駆けつける事が出来た。
イザンとともにアエルロトを助け起こし、念の為に呼びかけてみるが返事はない。
簡単な応急処置のあと、頭を押さえつつアエルロトがゆっくり目を開けると、アンジェリナは泣きそうな顔でアエルロトに抱きつく。
「…あ、アリエル様ぁ!アリエル様、ご無事で何よりです。倒れておられたので、心配したんですよ!?」
それに対し、アエルロトは反応が薄い。
きょとん、とした様子で無意識にアンジェリナの頭を撫でる。
「泣かないで、可愛らしいお嬢さん。」
そこで一度言葉を切り、イザンらに問いかける。
「あの…ところで…あなた方はどちら様ですか?『アリエル』というのは私のこと、でしょうか…。」
困惑した様子のアエルロトを見て、イザンは言葉を失った。
代わりにアンジェリナが答える。
「え!?…何も……覚えておられないのですか…?私はアンジェリナと申します。こちらの男性はイザンです。私達の関係は後でお話しするとして―今はここを離れましょう。ここに居てはお怪我の治療もできませんから。」
アンジェリナはイザンに目配せし、イザンも無言で頷く。
「アエ…いえ、アリエル様。肩をお貸ししましょうか?」
「はい、お願いします。まだ頭が痛くて…。」
アエルロトは素直にその好意を受け取り、三人は一先ず森を抜けることにした。
「アンジェリナ、村はどちらかわかるか?」
「ええ、大丈夫。こっちに進めば村に着くはずよ。」
そう言ってアンジェリナは別の村に誘導した。
宿でアエルロトを休ませつつ、そのことに気付いたイザンがこっそり問い詰めると、アンジェリナはこう答えた。
「さっき、イザンは『アエルロト様』って言いかけてたでしょう?あの時に思ったの。最初に私が『アリエル様』って声をかけてしまったのに、今更グリンデルには戻せないわ。」
「何故?」
アンジェリナはイザンの目を見て、ゆっくりと言葉を返す。
「グリンデルには医者は居ないもの。それに、あの村の人たちは、アリエル様の『放浪騎士兼パティシエのアエルロト』という側面しか知らないでしょう?だからダメなの。今の状態だと、ご自分の名前がアリエルなのかアエルロトなのかで大混乱されると思ったから…。」
「あぁ…確かに。」
イザンは納得した様子で頷く。
「まずは心身ともに元気になっていただいて、それから村に帰すべきでしょう。その方がお二人の為になるはずだし。」
「お二人……?あぁ!」
「クロモドさんは樹木のことは解っても、人の心や体は専門外だから―最愛の人が自分のことを忘れてしまって、傍に居ても何もできないとしたら、きっとそのことを気に病まれるわ。そこは私達がしっかりお世話しないと。」
イザンは無言でアンジェリナの頭を撫でた。
「きゃっ…。」
アンジェリナは驚いた様子で真っ赤になる。
(距離だけを考えてグリンデル村で手当てをするべきだと思っていたが―アンジェリナの主張は概ね正しい。そして、あの方の幸せを望むからこその判断だったのだな…)
この翌日から、少しずつアエルロトの記憶の欠片を拾い集める作業が始まるのだが、二人にはそれが苦にならなかった。
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