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どぞー。
失踪
既にクロモドは桜に辿り着き、その木の下にいた為、アエルロトが心配するようなことは何もなかった。
(雨避けの魔方陣がこんな形で役に立つとは、な)
『情けは人の為ならず』とはこのことか。
ここに居れば、雨も多少は防げる。
しかし、アエルロトはまだ移動中だろうし、ずぶ濡れになっているかもしれない。
次第に心配と不安が大きくなってくるが、どれだけ待っても彼は現れる気配がない。
クロモドは雨がやむのを待ち、ゆっくり引き返すことにした。
森の中なので正確な時間はわからないものの、辺りは既に薄暗い。
結局アエルロトに会えないまま村に戻ってきてしまった。
自宅にも彼の姿はなく、クロモドは途方にくれた。
(アエルロトが理由も無く私との約束を破るわけがない。ならば、彼の身に何か起きたのだろう。だが、痕跡も残さずにどこへ消えてしまったんだ…!?)
明日はアルポンスも動員してアエルロト捜索に乗り出さねばなるまい。
『今日は早めに休んで英気を養っておこう』と判断し、クロモドはゆっくり休息を取った。
一方、アエルロトは―。
急な来客の正体とは、今日もディオネの使いでこちらに来ていたアンジェリナやイザンだった。
そんな事情もあって、アエルロトも彼らを丁重に扱わざるを得なかったのだが―。
二人が発見した際、不運にも彼は記憶を失っており、アンジェリナの判断で近隣の村に運ばれていた。
アエルロトとクロモドの再会はまだ当分先のこと…。
しかし、この時のアンジェリナは彼らに意地悪をしているわけではなかった、と後にクロモドは知ることになるのだ。