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時間と戦いながら、クロモドさんパートを公開。
設定的には未来になるのかしら?
しかし、季節モノなのに分割とかっ…
続きは明日辺りに……尽力します。
聖夜の祈り
苦労の末に長旅を終えた遠征隊はそれぞれの故郷に戻り、クロモドもまた、グリンデルでひっそりと暮らしていた。
本当はここにもう一人居るはずなのだが、彼は時折手紙を寄越すくらいである。
『昔の恩人に呼ばれたので、会ってきます。直ぐに戻りますね』と言い残し、どこかへ行ったきり戻ってこないのだ。
クロモドの研究の成果によって森が元に戻った為、クインシーも森に帰った今、彼はアルポンスで寂しさを紛らわしながら、恋人の帰りを待つのみ。
(以前にも『幼馴染が~』とか言って、朝帰りすらしなかったことがあったな…)
そんなことを思いつつ、アエルロトの帰りを待つうちに季節は巡り―。
雪がちらつく頃になって、クロモドの脳裏に遠征隊と過ごしたクリスマスの暖かな記憶が過ぎった。
(一緒にいる時は騒々しいと思ったりもしたが、あれはあれで良かったのかもしれないな…)
思い出に浸るように、彼はゆっくり目を閉じる。
◆ ◇ ◆ ◇ 一年前のクリスマス ◇ ◆ ◇ ◆
それぞれがドレスやタキシードを纏い、綺麗に飾られたオーナメントやツリーを眺めながら談笑している輪に入れず、私は少し離れたところで本を読んでいた。
全員の居場所を把握すると、アエルロトはさり気なく私に歩み寄る。
「読書も良いですが、そこでは冷えますよ。せめて、今日くらいは…皆さんで一緒に過ごしませんか?」
そんな恋人の声で現実に引き戻され、顔を上げるとアエルロトの優しい笑顔がある。
思わず差し出された手に手を伸ばした。
「……ん。」
アエルロトは私を連れて自然と遠征隊の輪に溶け込んでいく。
時折私も参加しやすい話題を振ったり、そんなフォローも忘れない。
おかげでその日は普段よりも会話が弾んだ。
食後には宿の厨房を借りて作ったというアエルロトの絶品スイーツも出され、夜は――寒さに震える体を抱きしめられ、二人で一つのベッドを使って休んだ。
その際『たっぷりと時間を掛けて可愛がられた』のは良いとして。
◆ ◇ ◆ ◇ 現在 ◇ ◆ ◇ ◆
(いつだったか『何があろうと、私はクロモドさんに寂しい思いなどさせません』という約束は…今こそ果たされるべきだろう!?いつまで待たせるつもりだ!!)
今年は一人で過ごす事になるかもしれないと思うと、心が冷えていく。
あれから数ヶ月も待たされているのだから、今日現れるとは限らない。
しかし、今日は奇しくもクリスマス。
普段は神を敬う気持ちなど持って居なくても―今夜は祈っても許される気がした。
望みはただ、アエルロトに会いたい、とそれだけだ。
無駄だとわかっているのに、何かに縋らずには居られない。
私はいつからこんなに弱くなってしまったのだろうか。
待つにしても、今日は冷える。
部屋から毛布を持ってきて包まりつつ、しばらく待ってみたが、待ち人は来ない。
それどころか、体が温まるにつれ、眠くなってきた…。
どこか遠くでアルポンスが鳴いている気がするが、とても目を開けていられない。
そのまま、私は『今日』という日が終わる前に眠りの世界に引き込まれてしまった。
NEXT>聖夜の約束
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
一話に収めて出すことにこだわらず、終わってる
ところだけ出せば良いじゃない!と。
そう思って、クロモドさん視点を公開。
続きはロト視点です。
そのあと年齢制限パート挟んで〆かな。
うちは心理描写にウェイト置いてるつもりなので、
第三者視点よりこっちの方が書きやすいのは秘密。