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タルタロスオンラインにおける萌えを綴る場所。
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両想いなのにすれ違う二人美味しいです。
これはちょっとした応用だけど。

続きどうぞー。


  すれ違い

その日、アエルロトは滞在している宿の一室から空を見上げてぼんやりしていた。
憂いを帯びたその表情は見た事が無かったのだが、それでもクロモドはそれが捜し求めた恋人だと確信した。
何故ならば、彼が髪を掻き揚げる仕種の際に光を反射したのが、かつてクロモドがアエルロトに贈った指輪だったのだから。
クロモドの脳裏にその時の情景が鮮やかに蘇る。

あの日、クロモドはアエルロトと二人で海賊のアジトに乗り込んだ後、双方傷だらけでベルトに帰還した。
その際、クロモドは自分がつけていた指輪をアエルロトに渡そうとした。
しかし、アエルロトは一度はそれを拒み、代わりに自分の指輪をクロモドに差し出したのだ。
「私がこれを受け取ってしまったら、クロモドさんの指輪が無くなってしまうでしょう?だから、これを持っていてください。私が傍に居られなくても、私の代わりにクロモドさんの力になるように―指輪に魔法を掛けておきますから。」
そんなやり取りを経て、二人は指輪を交換した。
見た目は同じだが、アエルロトの方は微弱な魔力を帯びているのに対し、クロモドの物は魔力が強めだった。
しかし、アエルロトの魔法を加味すれば、それはたいした問題ではない。
二人は交換した指輪を早速身につけ、アエルロトはクロモドの指輪を見て幸せそうに微笑んで『大切にしますね』と、指輪に口付けた。
その瞬間、電撃にも似た何かがクロモドの背中を駆け抜けたことも思い出す。

クロモドはその際に受け取った、当時アエルロトが愛用していたぺリアス祭祀の指輪に触れ、意を決して彼に声を掛けようと、物陰から一歩踏み出したその瞬間。
「お茶の準備が出来ました!」
アンジェリナが彼を呼んだ。
「ありがとう、アンジェリナ。今行きます。」
そういって彼は立ち上がる。
「今日はアリエル様がお好きなアッサムにしてみましたけど、お口に合うかしら…。」
アンジェリナは少々不安げな様子ながら、その表情ははにかむ乙女そのもの。
少なからず彼に好意を持っているのは明白だった。
クロモドとて、アンジェリナとは面識がある。
しかし、二人の関係については良く知らない。
行く先々で『女性は大切にしなければ』と発言し、実行してきた彼がアンジェリナにどんな感情を持っているのか―。
急に事実を知るのが怖くなり、クロモドは結局そのまま村に帰った。

一方、そんなことには気付いていない彼らは、というと…。
のんびりとお茶を飲んで寛ぎながら、じっとアンジェリナを見つめてみる。
(その人はアンジェリナよりも身長・座高が高かった気がします。従って、アンジェリナではありませんね…)
次にイザンに視線を移す。
(身長だけならイザンの方が近いでしょう。でも、彼も違う…?)
「イザン…少々失礼しますよ。」
一応前置きをしてから、イザンに抱きついてみた。(確か、私よりも少し背が高くて、眩しいくらいに白いイメージ―というより、これはむしろ銀、でしょうか。黒尽くめのイザンも当てはまらない。私は……誰を愛していた?なぜ、大切な人を思い出す事が出来ないのだろう…)
切なさが募って、ほんの少しイザンに甘えるように腕に力を込める。
そのことに気付いたイザンも、躊躇いがちにアエルロトの背中をぽんぽんと撫でる。
アンジェリナはそろそろ頃合だと判断し、翌日一行はグリンデル村に移った。
 

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