タルタロスオンラインにおける萌えを綴る場所。
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軽く校正兼ねて読み返したらしっかり出来てたよ!
出すのを忘れる事があるので、日付指定で予約投稿に
することも考えてます。
では、続きをどうぞ。
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春の兆し
春が近付くにつれ、クロモドは勿論のこと、アエルロトもますます忙しくなっていた。
最近は人間だけでなく、綺麗な鳥も足繁く通ってくるようになり、アエルロトはその鳥を『アンジェリナ』と呼んでいた。
「今日は何が欲しいのですか、アンジェリナ。」
などと声を掛け、足元に括りつけられたメモを確認すると所要時間を計算し、『何分後に引き取りに来るように』と指示を出す。
鳥もそれに答え、何事か囀ってから飛んでいく。
そして、アンジェリナの注文の品を引き取りに来るのがイザンだった。
クロモドはそれを見て『女性客の中に混じってスイーツを買い求めるのは度胸が要りそうだ』と思ってはいたが、アエルロトもその辺の事情を汲んだのか、彼らには別の待機場所を指定し、自ら手渡しているようだった。
今日も日常風景の一つである、そんな光景を横目で見ながら、森へ向かう。
例の桜はクロモドの適切な処置によって驚異的な回復力を見せ、蕾をつけるほどになっていた。
開花はもうすぐだと思うと、足取りも軽くなろうというものである。
(やはり、植物は良い…人間のように嘘を吐かないし、見栄を張ったりもしない。愛情を持って接すれば、必ずそれに応えてくれるからな…)
連日増え続ける一方である女性客によって齎される喧騒に辟易しながら、クロモドは足早に桜の古木を目指す。
今日も手入れをしながら、蕾を一つずつ確認していくと、僅かに綻び始めているものがあった。
「ほう…。随分と元気になったじゃないか。これは開花が楽しみだ。」
珍しく笑顔でそんな言葉をかけながら幹を撫でると、それに応えるかのように、微かな桜の香りがクロモドを包む。
クロモドは目を閉じ、しばし香りを堪能する。
(不思議と落ち着く…アエルロトも、きっと気に入るだろう。花が咲こうと咲くまいと、明日にでも一度ここに連れて来るか)
その日はそこで切り上げ、『明日また来る』と言い残して帰途に着いた。
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